UNHALFDRAWINGsuper water repellent”FUROSHIKI”
超撥水風呂敷 道中合羽
TRAVEL IS HOME『旅を栖とする』というテーマで、江戸中期から末期頃まで庶民がしていた旅支度をトレースし、衣装や道具を現代版に差し替える試みで幾つか商品を用意した。道中合羽は現在の旅の外套にあたる。
今日旅というと自宅を離れ他所へ行くこと。その多くは余暇を楽しむ行為とも考えられている。旅を終え「はぁ~家が一番」と云うことも少なからずあるが、旅には心身をリフレッシュする作用があるそうだ。
漢字『旅』は軍隊の意味を持つ。旗を掲げて、多くの人が他に出行する意。また宗教行事外祭のために旅することもあった伝えられている。ちなみに『道』は異族の首をたずさえて、外に通ずる道を修祓(しゅうふつ)しながら進むことの意と白川静は説いた。私たちはそのように成り立った漢字という象(アイコン)を使っている。
さて時代劇を見る側も作る側も高齢化しニーズを失った今日においては、かつて高視聴率で小学生の間でもその決め台詞を流行らせた時代劇があったことを想像するのは難しいかも知れない。
しかし五十年前の1972年には、フジテレビ系列で放映された市川崑監督、中村敦夫主演のテレビドラマ『木枯らし紋次郎』は、視聴率が30%を超える人気となり、主人公紋次郎の決め台詞「あっしにはかかわりのないことでござんす」は流行語となり、(日本語版ウィキペディアより)という作品もあった。紋次郎は大きな三度笠に、縞の道中合羽で身を潜めた股旅姿。考えると逆に目立ってしまうのだが、社会の外に身を置く渡世人、旅に栖む非日常感と陰翳感に大人も子供も魅せられてしまう。
そうした感慨によって江戸末期明治初期に作られた道中合羽をプリントした、超撥水加工の風呂敷を作った。朝倉染布のハイテク技術が宿った風呂敷は、包むという本来の目的以外、急な雨から荷物や体を守ってくれる魔法の布で、何より畳めば邪魔にならないのは旅にとっては大いにありがたい。
UNHALFDRAWING 立沢トオル
外套(がいとう)というと現代では街着のコートを指すようだ。
山ではハードシェルが外套ということになるが湿気の多い蒸す時期が長い日本では 雨を凌ぐには防水性と透湿性能ばかり語られるが、特に低山や樹林帯では薄手の生地の撥水性も有効である。
96cm×96cmのこの風呂敷は肩周りを中心に水を弾き腰上まで覆える。マントのように羽織るので蒸れた感覚は皆無で適度な防風性能で体温保持でき快適で 山を駆けるとヒラヒラと生地が舞って美しい。サっと畳んで前かけのサコッシュに入れればすぐにクールダウンできる機動力が嬉しい。
レインスカートとしても巻ける絶妙な大きさに加え “超”撥水 と謳うだけある極上の撥水性能は泥も寄せ付けないので地面に敷ける。濡らしたくないものを包んで峠を越えてもいいだろう。
江戸から大正へと普及した多くの道中合羽は藍染された木綿に桐油を塗った和紙をはさみ込んだものだが1レイヤーでポリエステルに超撥水を施すことでここまで旅の道中で多面的に使えるものかと驚いた。
着る、包む、巻く。是非直感的に使いこなしてもらいたい。
UNHALFDRAWING 千代田高史