海千山千會 - うみせんやませんかい

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UNHALFDRAWINGTENUGUI “KOURAIYASHIMA”
手拭い 高麗屋縞
unhalfdrawing

  • material

    綿100%

  • size

    90cm × 34.5cm

  • weight

    32g

¥2,750(in tax)

TRAVEL IS HOME『旅を栖とする』というテーマで、江戸中期から末期頃まで庶民がしていた旅支度をトレースし、衣装や道具を現代版に差し替える試みで幾つか商品を用意した。手拭いは道中必須のアイテムである。

東海道品川宿を上り鮫洲漁師町を過ぎると立会川に泪橋と呼ばれる橋が掛かっている。これを渡ると鈴ヶ森の刑場となる。袖濡らす別れ涙の浜川橋。

四世鶴屋南北作『浮世柄比翼稲妻』の第二幕、処は神奈川宿の茶屋。眉目秀麗なお尋ね者で、因州因幡国の武士白井権八と雲水たちとの立ち回り。が白井は相手にせず金を置き立ち去る。そして六郷の渡しに歩き着く頃にはすでに暮れ六つ。ええぃと船頭に代金をはずんで多摩川を越える。

この頃の旅人は日が昇って暮れるまでしか歩かない。夜は物騒だからだ。生首が並んだ夜の鈴ヶ森に通りかかると、待ってましたと山賊たちが襲いかかる。しかし妖刀村正を抜いて山賊たちを返り討ちに斬り捨ててしまう。

神奈川宿より白井を見て、駕籠で追ってきた幡隨院長兵衛が「お若えの、お待ちなせえ」と声を掛ける。そして仁義を切る「弱いやつならぁ除けて通し、強いやつなら向う面、韋駄天が革羽織で鬼鹿毛(おにかげ)に乗って来ようと、びくともするものじゃぁごぜえやせん。及ばずながら侠客(たてし)のはしくれぇ、阿波座烏は浪花潟、藪鶯は京育ち、吉原雀を羽交(はげえ)につけ、江戸で男と立てられた、男の中の男一匹。いつでも尋ねてごぜえやせぇ。陰膳すえて、待っておりやす。」

さてこの手拭いは冩樂が高麗屋錦舛(小山田太郎)を描いた浮世絵を手本にしたもので、高麗屋縞の由来どおり鈴ヶ森の幡随院長兵衛としている。

世にある高麗屋縞の手拭いは細かな柄しか見かけない。綺麗だがこのような世界観がどうにも伝わってこないように思える。

UNHALFDRAWING 立沢トオル