ORIGINAL SWEAT SHIRTS
LONG SLEEVE(INDIGO BLUES)
信念をもって生きると云うようなメッセージを、ぼくは却下する。余計なお世話だと思う。グラフィックの候補に上ることはなかった。
GENTEMSTICKの藍染和紙スノーボードに時がきて実現しそうな気配を感じた頃、広い綿畑のなかで唄いながら綿花を摘んで生きていた黒人労働者たちのイメージが頭に浮かんだ。
コウゾやタデアイといった草木や栽培に感心が深くなったこともあるかも知れない。けれどテレビやスマホから絶えず流れてくるジョージ・フロイドさん殺害事件の報道の影響なくしてそれはない。
利益追求と人が人を搾取する不条理極まりない暴力は、悲しいことに相性が良い。そのうえ人は地球からも搾取と汚染をし続けている。ぼくらが安価な綿の服を買い、気楽に棄てるのもそこに組み込まれている。
谷野さんが埼玉でコウゾを植えた分で和紙を漉くのと、渡邉くんが徳島でタデアイを育て発酵させた量の藍液で染めるのとは、正反対のことが世の中の主流であり現実である。
泣きながら笑って生きなければならない社会は決して終わってはいない。
UNHALFDRAWING
立沢トオル
身長155cm XS 着用
身長174cm T 着用
古着の服から特殊技術でポリエステル成分だけを抽出し、もう一度糸から作り直す。正真正銘「服から服を作る」を実践したリサイクルポリエステルを使ったスウェットが出来上がった。
このようなアイテムを作るのは山で遊ぶ人間として環境を考えての行動だ。石油由来の化学繊維の生産によるCO2の排出は地球温暖化の深刻さに拍車をかけている。
しかしこのスウェットの「従来のスウエットらしくない」性格こそ僕は魅力的だと感じている。ポリエステル100%なのに綿と見間違う質感、そして吸水速乾性に優れるこのスウェットは日本の湿度の高い状況下でもオーバーヒートする不快感がなく、夏を除いた3シーズン長い期間手が伸びてしまう。
身幅が広く、着丈が短めのクラシックスタイルをベースとしている。リブもあえて締めるデザインにしていないので新鮮な風を裾から入ってくる。
洗濯後の乾燥は2時間もすれば乾いてしまう。旅服としてのポテンシャルは相当高いと感じる。
ただ綿のものに似せているわけではない
。
ただ、リサイクルを謳いたいわけでもない。
このポリエステルだからこその新たな魅力がこのスウェットには、宿っている。
UNHALFDRAWING
千代田高史